増加する重症心身障害児・医療的ケア児

重症心身障害児・医療的ケア児とは?

「重症心身障害児」とは「重度の知的障害」および「重度の肢体不自由」が重複している子どもたちのことです。
話すことができず、歩くこともできない重い障害を抱えている子どもたちのことです。「身体障害手帳1・2級かつ療育手帳A」が目安と言われていますが、実際ははっきりしていません。定義がはっきりしないために自治体によって対応が異なるという弊害もあります。現在は大島分類という数十年前に作られた古い分類方法によって重症心身障害児を定義する事が行われていますが、見直されつつある状況です。
「医療的ケアのある児童」略して「医療的ケア児」と呼ばれる子どもたちも増えています。たん吸引を必要としていたり人工呼吸器をつけている子どもたちです。重い障害のために受入てくれる施設も極端に少なく、子どもたちだけでなく家族の負担も増えています。

では、なぜ重い障害を持つ子供が増えているのでしょうか?

日本の最先端医療のジレンマ

Baby
日本の小児医療は世界でもトップレベルです。一昔前の日本であれば、または外国であれば救われなかったであろう命が、現代の日本では救われる可能性が高いのです。それは喜ばしいことですが、重い障害を持ちながら生まれてくる命も増えると言うことを意味します。事実、「重症心身障害児」と認定される子供の数は年々増加しており、小児医療のジレンマと言われています。
小児医療はトップクラス
しかし
支援体制はトップクラスとはいえない

lifeもっと大きな問題は、救われた医療的ケアのある子どもの命の行き場がないということです。医療的ケアのある障害児は生まれたばかりの時は病院にいますが、病院にずっといるわけにはいきません。家に帰ってきますが、お父さんもお母さんも、生活を支え、他の子どもたちの面倒も見なければなりません。障害児向けの施設はありますが、重い障害のために断られてしまいます。

小児医療はトップクラスでも、その後の支援体制はトップクラスとはいえません。

そして、お父さんお母さんの壮絶な生活が始まります。ですから、社会全体で家族をサポートしていく体制がどうしても必要です。親、家族、特定の人だけに負担が増していく状況を改善していかなければなりません。

ご存知でしたか?
高齢化社会に伴い医療費が増大しています。急増する社会保障費対策として入院から在宅への流れがあります。
1ヶ月の重症児の家族の負担

児童発達支援・放課後等デイサービス

重症心身障害児と家族を支援するための制度が平成24年に児童福祉法の基に改正されました。「児童発達支援」、「放課後等デイサービス」の制度に、「重症心身障害児を主たる対象とした」という区分が設けられています。児童発達支援は未就学児、放課後等デイサービスは就学児が利用します。

しかし現実には、施設を開設するための人員基準が非常に高く、定員も少ないため、経営的に長期運営をしていくのが難しい事業です。子どもたちの体の状態も不安定なため、月によっては利用者の半分がお休みということもあります。事業としてのリスクが大きく、参入する事業者は非常に少ない状態です。また、社会の重症心身障害児に対する理解も深まっていません。障害児をもつ家族が、この制度を知らない場合さえあります。

NPOあいの実の取り組み

NPOあいの実は、これまでALS等の難病支援に力を入れてきました。痰吸引や24時間の支援など、他の事業者がやりたがらないような先駆的事業にチャレンジしつづけています。そして支援が行き届いていない障害児へのサービスにも目を向けています。その一端として、平成26年9月仙台市泉区に重症心身障害児・医療的ケア児に特化したデイサービス「あいの実ラズベリー」を開設し、平成27年4月より児童発達支援、平成27年12月に放課後等デイサービス「あいの実クランベリー」を加えました。平成29年4月より、子どもたちが大きくなったときの生活の場として生活介護を設置しました。

全国的にも珍しい入浴サービスを行っていています。小さな施設ですが、お母さん方から「こんな時代が来るとは思わなかった」「はじめて自由な時間ができた」という喜びの声を頂いています。
ご利用者のインタビュー記事

0才〜高校を卒業するまで、そして卒業後も一貫して世話できる体制を整えています。

河北新報記事

NPOあいの実の取り組みが河北新報に掲載されました

あいの実の視点

あいの実は次の3つの視点を持ちサービスを行っています。

会的必要に応える

国は重症心身障害児の在宅支援を推進しています。しかし、新生児特定集中治療室 NICU (Neonatal Intensive Care Unit) から出て家に帰っても、在宅支援を行う社会的資源が十分ではないため、家に帰れない、家族の負担が大きい、といった状況が生まれています。社会資源としての児童発達支援・放課後等デイサービスを開設し、社会的必要に応えます。

立のために

愛情深いお父さんお母さんは、ずっと子どもの面倒を見ていきたいと思っています。しかし、現実的には親も歳をとり、いずれは親自身が介護を必要とするようになります。重症心身障害児であったとしても、いずれは自立が必要になるということです。

重症心身障害児の性質上、新しい環境・新しい人に対応するのに時間がかかります。親が子どもの面倒を見られなくなった時にどうするか?急に新しい人、新しい環境にすぐに慣れることはできません。ですから、子どもの頃から、一人で過ごすことや、様々な環境、様々な人に慣れていく事が必要です。

子どもの将来のために、自立への一歩として施設を運営します。

族の平安のために

親は、子どもがNICUから出てきたら、24時間の世話が始まります。自分の時間がない、ほかの子どもたちの世話ができない、仕事をしたくてもできない、夫婦の時間がとれない、など、様々なことを犠牲にしなければなりません。経済的な不安も立ちはだかります。

兄弟姉妹は、寂しい思い、将来の不安を抱えることになります。

家族の皆が将来を思い描き暮らす必要があります。

重症心身障害児を預かることによって、僅かな時間であってもお父さんお母さんを解放し、自分のため、家族のために時間を使えるようにします。

就労支援

重い障がいをもつ子供がいても、働きたい。社会の一員としてつながりを持っていたい。経済的に支えたい。そう思うのは当然のことだと思います。しかし、現実は厳しいものです。

あいの実が就労時間などの融通をきかせ、障害を持つお子さんの親があいの実で働くことはできないか?そうした考えに基づく取り組みにより就労機会が創出されています。

今後のビジョン – 子どもと生涯を共にする

重い障がいを持つ子どもたちは、大人になっていき、歳をとっていきます。その全生涯に向き合っていくことが必要です。

あるお母さんは「子どもよりも1日遅く死にたい」といったそうです。

そんなことは絶対に言わせたくない。それがわたしたちの願いです。
親が生涯を終え、そして子どもが生涯を終えるという当たり前のことを家族が望めるように。

ですから、重症心身障害“児”だけに目を向けるだけでは不十分であるとあいの実は考えています。子どもたちが大人になり重症心身障害“者”となった時にどうするのか。あいの実では無理です、とは言いたくありません。

わたしたちは、「子どもたちの生涯を支える」という覚悟をもって重心保育園・重心放デイ、そして生活介護を開設しました。

今後も、家族全員が人生を設計できるようにサポートしていきます。

わたしたちの活動を支援してください