NPOあいの実 ラズベリー 重心児童発達・重心放デイ

例えば ラズベリー

あいの実は重症児・者に特化したデイサービスを二カ所開設している。
例えばラズベリーは日本でも有数の重症児受け入れ通所施設。
その現状をリポートする。

仙台市西部、泉区内の住宅街の一角に、あいの実北中山事業所がある。この建物に入るのが重症児・者のための通所施設が「ラズベリー」。あいの実が運営する重症児を対象とした二軒の放課後デイサービスのうちの一つだ。


一見すると何ら変わらない普通の放課後デイサービスのよう。たまに大きなワゴンの送迎車が横付けされて子どもたちが中に入っていくくらいで、特段変わったことも無いように見える。実はこのデイサービスが日本有数の重症児受け入れ通所施設なのだ。

決断

この場所は、かつてあいの実の本部事務所があった場所で、重症児のために改装された建物。あいの実はもともと訪問介護を行っていたが、その中で重症児との関わりが増えた。いつかは重症児のためのデイサービスを作りたいと思ってはいたが、人員要件なども厳しく、経営が成り立つのかと二の足を踏んでいた。「重症心身障がい児」の行き場は限られていた。重症心身障がい児を対象とした放課後デイサービスは新しい制度で、当初は、「子どもを預けて大丈夫だろうか」という親の不安、「重症の子を預かっても大丈夫だろうか」という事業者の躊躇が制度の広がりを妨げていた感は否めない。また、制度自体もまだ実情に合ったものとは言い難かった。
そんなところ、平成26年、名古屋のNPO「ふれあい名古屋」(現・社会福祉法人ふれあい名古屋)の鈴木理事長と出会った。このNPOはすでに複数の重症児のためのデイサービスを運営していた。あいの実の幹部数人が名古屋へ飛び、施設見学と鈴木理事長の話を聞き、強く背中を押された。結局この出会いから約4か月後、平成26年9月に重症児を対象とした放課後デイサービス「ラズベリー」を開設することになる。
開設までの4か月間はてんやわんやの大騒ぎだった。事務所の改装工事や人材の採用。担当者はストレスで気分が悪くなる思いを何度もしていた。しかし、様々な方たちの支援、仙台市の協力などもあり無事に開所にこぎつけることができた。あいの実の訪問介護事業での知名度と信頼も後押ししてくれたに違いない。

ラズベリー

ラズベリーのスタートは静かなものだった。年度の途中ということもあったが、登録者は4,5名。一日の利用者は一人か二人といった閑散としたものだった。制度自体が知られてないうえに、親御さんも様子見だったのだろう。大事な我が子を安心して預けられるのかという不安を解消するには少々時間が係ることは容易に想像がつく。”信頼”とは簡単に得られるものではないということを改めて感じる時期でもあった。
ラズベリーは大きく分けて三つの事業を行っている。1、未就学児の児童発達支援、2、就学児の放課後デイサービス、3、成人のためのデイサービスである生活介護。一日の定員は児童発達支援と放課後デイを合わせて5名、生活介護はそれとは別に5名の定員で、三つの事業合わせて一日の定員は10名となっている。
ともかく、あいの実は一歩を踏み出し、少しづつ親御さんの信頼を得、あいの実のスタッフも知識と技術を身に着けて成長してきた。その結果は当初予想していたものをはるかに超えるものだった。

超重症児・準超重症児

あいの実の放課後デイサービスの特徴は入浴サービスだ。どんなに重い症状があっても、たとえ人工呼吸器をつけていても、お風呂に入って家に帰るという、家族が待ち望んでいた目玉事業だ。そのためラズベリーはたちまち満員になり、二件目のクランベリーが開設された。結局クランベリーも満員状態になっていくことになる。そして、ふと気づくと、ラズベリーは超重症児・準超重症児の大集団となっていたわけである。
超重症児とは、重症児のなかでも医学的管理下におかなければ呼吸をすることも栄養を摂ることも困難な障害状態にある障害児のことで、超重症児スコア表※を用いて必要な医療処置によって点数を付け、スコア25点以上を超重症児、10点以上を準超重症児としている。
放課後デイサービスの登録者20名のうち実に17名が医療的ケアを必要とする子どもたち。その中で準超重症児が9名、超重症児が6名で、超重症児のうち4名がスコア30以上という。しかも、これは放課後デイサービスの話である。生活介護にも超重症者がいる。ここまで重症の子どもたちを受け入れている施設は日本では数えるほどしかない。「どんなに重い障がいがあっても受け入れる」という当初の決意が実を結んだともいえるが、まさかここまで重症児が利用してくれるとは思ってもみなかった。ラズベリーでは、胃ろう、経鼻経管、気管切開部の処置、吸引、吸入、呼吸器管理、またカニューレ自己抜去時の再挿入など、病院を思わせるようなサービスを実施している。
確かに、症状が重い子や、人工呼吸器の子にサービスするのはリスクがある。病院ではないため医療行為は原則行えない。現場で重症児を預かるスタッフの受ける潜在的ストレスは大きい。でも、大変だからこそ家族のためになる。普段はこれらの医療的ケアを家族が担っているのだ。重症児の支援は、支援を受ける側の波及効果が非常に深いのだ。親や兄弟姉妹が感じていたストレスを少しでも肩代わりできたなら、本望だ。

重症児デイの問題点

重症児デイの問題点は、一言でいえば人材育成だ。あらゆる業界で人不足が起きているわけだが、とりわけ介護業界の人手不足は希望を見出すのが難しい。人材が流出するだけで、流入してくる人材がほとんどいないのだ。さらに、あいの実のサービスには高い技術が求められる。入職希望者が来て実際に現場を見てもらうと、ほとんどの人はサービスの意義を感じながらも「自分には無理だ」と思ってしまうのが現実なのだろう。志ある方が入職したとしても、ついていけずに離職するケースも少なからずある。現場は本当に壮絶なのだろうと想像がつく。
一方、そんな中でも明るく真剣に業務に向き合ってくれるスタッフには頭が下がる。小児分野で経験を積んできた幹部職員は「今ではかなり高度な医療的な会話ができるようになり皆成長した」と笑みを浮かべる。開設当初のスタッフの状況を知るからこその喜びだろう。小児介護の分野では素人同然だったスタッフが困難な状況に負けずに訓練を重ねた結果、この分野ではエキスパートになろうとしている。こうしたスタッフはあいの実の宝だとつくづく思う。これからも強い志のある優秀な人材を採用していきたいと思っている。
もう一つ問題があるとすれば、行政の理解の問題だ。あいの実のある仙台市は小児在宅介護について理解が深いと感じている。これまでも様々協力いただき感謝している。ただ、どこでも仙台と同じというわけではない。あいの実理事長の乾祐子は、一般社団法人重症児デイサービス・ネットワークの代表副理事を務めており、全国の行政の情報が入ってくる。中には首を何度も傾げたくなるような対応の行政の話もよく聞く。つまり重症児者が受けられるサービスに地域格差が生まれてしまっているのだ。自分のところは大丈夫だからと知らん顔をするわけにはいかない。これからも全国の同業者と連携していくことが課題となっていくだろう。

今後のラズベリー

これからのラズベリーでもっとも大切なのは「続けていくこと」だ。重症児と家族にとっては、生活の生命線となっていることさえある。
もう一つは受け皿の拡充だ。大きくなって大人になっていく子どもたちの行き場を十分に用意しておくことは、ラズベリーをより意義のあるものにする要素の一つだ。重症心身障害児のための生活介護の拡充、重症心身障害児も入れるグループホームなど、あいの実がやるべきことはまだまだたくさんある。

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