重症心身障害者の視線入力アート成果展『あいのきせき』開催報告ー生活介護の現場で継続する学びとアートを公開、来場者は延べ500名

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『社会福祉法人あいの実』(仙台市泉区)は、視線入力アート成果展『あいのきせき』を開催。アート作品の展示に加え、学習ムービー上映と支援ツール体験で、取り組みを来場者と共有しました。

(本ニュースは報道機関向けの発表内容をもとに作成しております)

本展は、厚生労働省『令和7年度 特別支援学校卒業後における生活介護利用モデルの作成事業』の報告として、成果の一端を一般公開したものです。

社会福祉法人あいの実では令和7年度中、支援学校卒業後に学びの機会が途切れやすい状況を踏まえ、『生活介護あいの実ブルーベリー』にて、学びを積み上げる方法を検証しました。以下、展示内容と得られた知見を報告します。

エキシビジョン:あいのきせき ずっとそこにいた、❝私❞をみつける学びの新領域

展示会の概要(実績)

会期:2026年2月24日(火)10:00–20:00/2月25日(水)10:00–16:00

会場:『せんだいメディアテーク』1Fオープンスクエア

内容:作品展示/制作過程・学びの記録の提示/学習ムービー上映/支援ツール体験

来場者数:延べ500名

展示会の様子(展示・上映・体験)

会場には、視線入力で描かれた絵を含む作品を展示。来場者からは、「この人の心の絵ですよね。心が掴まれたようにのぞきたくなる」「人間としての底力の強さ、そういうものにも感動」などの感想を頂きました。

重症心身障害児者たちの個性あふれる作品を展示

鑑賞の中心は作品ですが、制作のプロセスや学びの記録、支援の工夫もあわせて示し、「表現が立ち上がるまでの道筋」が読み取れる構成としました。

視線入力の体験コーナーを設置。体験者からは「意外に難しい。思い通りにならない」という声も。学習ムービーも上映。

体験コーナーでは、スイッチと視線入力を来場者が実際に操作できる場を設けました。支援ツールの難度と可能性を実感する声が聞かれました。

また、重い障害を持つ学習者がスイッチや視線入力等の支援ツールを使って学習する様子を、ムービーで上映。スタッフとのやり取りも映し、日々の積み重ねが伝わる内容としました。

棒状のスイッチ(支援ツール)を体験できるコーナー
学習者が視線入力によって描いた作品と、作品をデザインしたネイルチップを展示。実際の学習では、重い障害を持つ学習者がスイッチ操作により自らの指にジェルネイルを施した

ご家族の声(三浦美恵子さん/学習者:三浦統馬さん)

展示会のご感想
「連絡帳や口頭で様子は伺っていましたが、プロジェクターで流れていたムービーでより統馬の活動している様子とスタッフの皆さんとのやり取りが見れて嬉しかったです。思っていた以上にスイッチを使いこなしていてビックリしました。他の方の作品や学習に使っている色々な物も見れて勉強になりました。
他のお客さんが視線入力を体験して、楽しいけど難しいわね〜凄いね〜と言ってるのが聞こえてきて我が子達の作品がとても誇らしかったです」

学習へのご感想や今後の希望
「最近は自宅でもなかり腕や手の動きが良くなってリハビリの先生にも言われましたが、本人の意欲関心が大事で手を動かすのに動かして貰うより自分で動かす方が良いので拘縮予防にもなっているんだと思います。緊張が強い時間が続く事も減ったようなので活動が良い気分転換にもなっているのかなと思いました。
本人の意思を汲んでそれぞれに合った学習をするのは本当に大変だと思いますが統馬もとても楽しんでいるそうなので、時々気分が乗らなくて嫌がる時もあると思いますがこれからも宜しくお願いします」

「今後としては私の希望としてはやっぱり一緒にマルシェ等で販売がしたいです!私の仕事でイベントに出店する時も統馬を連れて一緒に接客したいなと思うし統馬と一緒にとお誘いを頂いた事もあるのですが、統馬のお世話とか休憩が必要で長時間は無理な事を考えるとなかなか二人きりでは難しいのですが、統馬にも自分で作った物が気に入って買って貰える喜びを体験して貰いたいと思っています。いつか実現できたら嬉しいです」

ご家族の声(伊勢久美子さん/学習者:伊勢冬都さん)

展示会のご感想
「冬都が視線入力で描いた作品は、玄関の白い壁に飾ります!白い壁に本当に映える作品です。メディアテークで作品を展示したように、画廊等での展示会もありかなと。重い障害を持つ方々が、一人の作家、アーティストとして十分認知してもらえるような作品ができるといいなと思います。夢ですね」

学習へのご感想や今後の希望
「冬都は、生まれてからずっと、こちらの呼びかけ等に対して反応は乏しく、私たち自身が、冬都の思いや気持ちを汲み取って、場合によっては予想して答えを出すしかありませんでした。ずっとそうして過ごしていました。ですが、視線入力が出来るということを知った時、冬都の本当の思いや気持ちを知ることができるのでは?、会話も可能なのではと可能性を感じました」
写真は冬都さんのお母様の久美子さん

成果報告書について(発行予定)

社会福祉法人あいの実では、事業終了を目前に控え成果報告書を発行予定です。成果報告書は、主に生活介護事業所の管理者・サビ管・支援者向けに、論点を整理しています。

・支援機器アセスメントと設定の実務(視線入力・スイッチの選定、環境調整、定着までのプロトコル)

・生活介護の運用に「学び」を組み込む設計(個別支援計画との接続、目標設定、記録様式・評価指標)

・推進体制とケース検討の方法(外部専門人材を含む連携、家族共有、振り返りの運営)

自治体の障害福祉課職員、特別支援学校の進路指導担当の実務連携にも活用できます。本実践は検証を継続し、社会福祉法人あいの実法人内の他事業所にも展開しながら、同業者へモデルとして共有してまいります。

アプリケーションについて

学習と一部の作品の制作には、岩手県立大学 ソフトウェア情報学部 伊藤(史)研究室の伊藤史人先生が開発された、重度障害児支援システム『EyeMoT』を使用しています。
開発ならびにご提供に、心より感謝申し上げます。

団体概要

法人名:社会福祉法人あいの実
所在地:宮城県仙台市
代表者:理事長 乾 祐子
設立:2021年(令和3年)
事業内容:重症心身障害や医療的ケアを必要とする方々への生活介護、短期入所、居宅サービス等の福祉事業を展開。地域に根ざした支援と、家族に寄り添う取り組みを続けている。

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