社会福祉法人あいの実 令和5年度 事業報告

令和5年4月1日から令和6年3月31日まで
基本理念
「人からしてほしいと思うことを、人にする」

  1. 事業概要
    (1) 法人
    西田中施設の運営を軌道に乗せることに注力した一年となりました。
    生活介護の報酬の低さと利用率の低さに悩まされました。また、医療型短期入所についても初年度で利用率が低い状態が続きました。今後も将来に向けた利用者の獲得、スタッフの確保を行っていく必要があります。
    (2) 事業
    ① 法人本部
    本部スタッフを効率よく配置する必要があります。今後も業務改善、適材適所の人員配置を今後も行っていきます。
    ② 訪問事業(訪問介護・居宅重度訪問・移動支援)
    新規利用者はいるものの、事業売上としては横ばいとなっています。スタッフ不足が原因と思われます。ただし、これまで訪問スタッフ一人一人に負荷がかかっており、適正な業務量になってきたとも言えます。これからも長く働いていただくためにも、業務の適正化が急務といえます。
    スタッフの人数は事業所単体としては仙台市内で最も多いスタッフとなっています。男性スタッフが多いのも特徴です。また、10年以上あいの実で就業しているスタッフも25名以上おり、訪問介護事業所としては珍しく定着率の高い事業所となっています。
    喀痰吸引1号研修修了者は20名を超え、一流の技術を持ったヘルパーが多数所属しています。
    ③ あいの実クランベリー(児童発達支援・放課後等デイサービス)
    人員配置加算を上乗せすることができましたが、まだ伸びしろのある状況です。新規の児童発達支援利用者を獲得していく必要があります。入浴サービスに加え、視線入力やスイッチ類を使ったコミュニケーション訓練も引き続き行っています。
    ④ あいの実ラズベリー(児童発達支援・放課後等デイサービス)
    人員配置加算を上乗せすることができましたが、まだ伸びしろのある状況です。新規の児童発達支援利用者を獲得していく必要があります。入浴サービスに加え、視線入力やスイッチ類を使ったコミュニケーション訓練もクランベリーでも行っています。
    ⑤ あいの実ブルーベリー(生活介護)
    施設とスタッフを有効活用していく利用者が必要です。新しいスタッフも多く、また短期入所との兼ね合いもあり売り上げが伸び悩みました。令和6年度の報酬改定での報酬アップが見込まれ、利用人数も増える見込みです。
    ⑥ ケアプランセンターあいの実(居宅介護支援)
    前年と変わりのない事業推移でした。利用者は若干増えています。ターミナルの依頼が増加傾向にあります。
    ⑦ あいの実オリーブ(計画相談支援・障害児相談支援)
    予想よりも利用者が増えており、相談支援員の業務量が増えています。収支は赤字となる事業ですが、法人全体にとって有用なサービスと認識しています。
    ⑧ あいの実クリニック(診療所)
    医療型短期入所あいの実ストロベリー(令和5年度開始事業)の付設診療所です。ドクター二人が週に一日ずつ、週二日の開院となっています。この事業では当初より黒字化は見込んでいませんが、医療型短期入所と合わせての収支を考えています。
    ⑨ あいの実ストロベリー(医療型短期入所)
    開設当初は利用人数が少なく売り上げも少ない状態でしたが、徐々に登録者も増え、利用者も増えています。しかし、依然として平均利用者数は低いので、引き続き利用メリットの周知等を行っていく必要があります。
    ⑩ 仙台あばいんプロジェクト
    療育キャンプ、カフェ開設準備、各種広報を行いました。個人からの寄付だけでなく企業からの協賛などを増やしていく予定です。魅せるデザインを展開し、法人イメージを形作る施策としても機能します。
  2. 理事会・評議員会
    (1) 理事会・評議員会開催
    年度内に理事会6回、評議員会5回開催されました。すべての理事会・評議員会で議事録が作成され適切に保管されています。
    業務執行理事からの報告も定款の定める範囲内で行われました。
    定款は基本財産の追加を含め1回変更され、いずれも仙台市の認可、承認を得て登記されています。

社会福祉法人あいの実 令和6年度 事業計画


基本理念
「人からしてほしいと思うことを、人にする」
基本方針
職員は法令遵守と業務マニュアルを基本とし、法人理念「人からしてほしいと思うことを、人にする」を意識して事業に当たる。
法人目標を「主体的に行動し、共に成長する職場環境の実現」、組織目標を「スタッフが自発的に問題を解決し、改善提案を行う文化の促進」とする。
(ア) 安全なサービス
重症な利用者が多いため、すべての面で安全を優先する。ヒヤリハットやクレーム報告等をもれなく行い、危険を未然に防ぐ。
(イ) 人材育成
今後の人手不足によるサービスの停滞を防ぐため業務の効率化、人材の効率的な育成をシステム化する。外国人材の採用についても調査を進める。
(ウ) 新規事業提案
就労支援事業を来年度開始できないかと考えている。そのための調査などを行っていく。

  1. 事業方針
    (1) 各種委員会の事業展開の推進
    提供サービスの業務内容等を検討するとともに、各種委員会が積極的に事業展開を推し進めていく。
    (2) 利用者のADLの向上
    ① 個々の利用者の生活史を把握し、個別ケアに重点をおいた介護サービス計画を策定し、適切なサービスの提供を行う。
    ② 介護サービス計画書に則り、個々のニーズに即した具体的なサービスを提供し、生活の自立向上を図っていく。
    ③ 利用者に対し、機能訓練等を通し、生活の自立向上を目指す。
    (3) 施設と地域社会との交流の推進
    ① ボランティアを積極的に受け入れ、地域社会との繋がりを深めていく。
    ② 近隣の保育園、小中学生、高校生等との交流を促進し、地域の子供たちとのふれあいの場を広げていく。
    (4) ご家族と施設との交流の推進
    ① 利用者の心身の状況を定期的にお知らせし、施設に関心度を高めていただく。
    ② ホームページや広報誌を通し、施設の動きや行事等の活動状況をお知らせすることにより施設への理解を深めていただく。
    (5) 災害時における危機管理対策の早期浸透化
    ① 所轄消防署等の協力を得て、早期に訓練内容の充実や日常の啓蒙を図り、地震、火災等の非常時における利用者の安全確保に努める。
    ② 応急救護訓練を全職員に実施し、利用者の生命維持管理体制の充実を図る。
  2. 運営方針
    (1) 効率的な事業展開
    お客様の地域特性やニーズ等を十分把握し、顧客の獲得に努め、事業者間のネットワーク体制を推し進め、各事業所の効率的運営に努めます。
    (2) 職員の育成・教育
    職員全員が福祉職員としての責務を認識し、自覚と誇りを持ってサービス提供できるよう、職員の教育・育成を図り、職員の資質により提供サービスに格差が生じないよう各種マニュアルを随時見直し、職員の資質向上を図ります。
    (3) 医療依存度の高い受け入れ体制整備
    医療従事者の専門性と役割を明確にし、看護師及び介護福祉士等の専門職を多く配置することにより、医療依存度の高い利用者の介護ニーズに応えられるよう体制整備に努めます。
    (4) 効率的なサービス提供
    各在宅サービス・地域包括支援センターとの連携に努め、複合的サービスが効果的かつ効率的にサービス提供できるように努めます。
    (5) 個人情報保護
    「個人情報保護基本法」に鑑み、利用者の個人情報保護を更に推し進めていくとともに、情報開示の推進を図ります。
    (6) 福祉サービスに係わる苦情の処理
    福祉サービスの質の向上と利用者の権利擁護を図るため、関係機関との密接な連絡体制を整え、利用者からの苦情に対し適切な対応に努めます。
    (7) 事故防止対策
    より質の高いサービスを提供することを目標に、事故発生の未然防止、再発防止体制を更に強化し、組織全体で事故の防止に取り組みます。
  3. 事業別実施計画
    (1) 法人本部・戦略企画室
    あいの実の事業の生産性を向上させるため、引き続きICT技術を用いるなどして業務改善を行っていく。また、新規事業に備えた人材の育成、採用の促進などに力を入れ、法人ウェブサイトとの更新などを引き続き行っていく。
    ① 事務処理に関する事項
    運営内容の開示のため、整理された明確な経理、整備された書類の作成に心がける。
    電子記録物の整備を行い、必要な検索が瞬時に出来るようにする。また、情報が保持できるようセキュリティ体制を整える。
    各事業所のネットワークを活用し、会議議事録等の円滑な情報伝達を目指し、経費の削減に努める。
    接遇の向上に努め、より良いサービスが提供できるように心がける。
    ② 予算の執行に関する事項
    安定的な保険収入の確保と、予算の執行に対して厳格なチェックを行い、経費の削減に努めるとともに、優良なサービスを利用者に提供できるよう心がける。
    安定的な介護報酬の確保の一環として、利用者、各支援事業者、各関係者に利用情報が早期に伝達できるよう常に心がける。
    ③ 個人情報保護に関する事項
    法人が保有する利用者等の個人情報に関し、適正かつ適切な取り扱いを行い、社会からの信頼を得るために、自主的なルール及び体制を確立し、個人情報の保護に努める。
    ④ 季刊誌の発行に関する事項
    法人の広報誌を発行し、施設での生活の状況、行事等について随時報告するとともに、施設の運営、経理、決算等の重要事項について報告する。現在年2回発行となっているが、そのうちの1回を年次報告書とする。
    ⑤ 職員の健康管理、生活環境に関する事項
    年1回(夜勤者は2回)の健康診断を行い、疾病の早期発見、早期治療に努める。また、必要に応じて健康相談を行う。
    利用者が安全で快適な生活が出来るよう定期的な環境衛生点検を行う。
    ⑥ 施設設備の保守と安全管理に関する事項
    施設の保守及び安全管理については専門的な業者に委託されてはいるが、常時、必要な保守点検を行い以下の早期発見に努める。
    ・ 電気設備の保守管理
    ・ 消火設備、非常通報設備、火災報知設備の保守管理
    ・ 施設車輌の保守管理
    ・ その他設備の保守管理
    ⑦ 介護サービス情報の公表に関する事項
    介護サービス情報の公表制度を導入することにより、介護サービス全体のサービス改善への取り組みを促進し、質の向上を図ることに貢献する。
    (2) 訪問系事業
     ヘルパー不足の解消: 人材募集や、事務人材のヘルパーの仕事への転換などを行っていく。外国人材に訪問介護事業を解放されることを見越し採用の調査を行う。
     喀痰吸引研修1号取得者の増加: 喀痰吸引研修1号取得者が増え、より高度な技術を持つヘルパーの養成が可能になりました。これは、特定の医療技術が必要な利用者へのサービス提供能力を高めます。
     訪問介護業務ソフトの更新: 既存の訪問介護に関する業務ソフトが古くなっているため、クラウド型のソフトへの移行を検討しています。これは業務改善とコミュニケーションの円滑化を図るために重要です。
     特殊な介護事業の拡大: 神経難病などの特殊な介護を中心に行ってきましたが、これらの特殊性を活かしながら、介護保険や同行援護など周辺で必要とされている事業の拡大も検討しています。これは、更に多様なニーズに対応し、更に多くの利用者をサポートするための重要なステップです。
    (3) 通所事業全体
     利用者に対する全面的なサポート: 食事、入浴、日常生活上の世話、機能訓練を提供し、社会的孤立感の解消と心身機能の維持・向上を図ります。これは、利用者の健康と幸せを保つための基本的なステップです。
     業務に必要な委員会を運営し、決定事項をフィードバックします。
     家族の負担軽減: 介護の重荷を減らすためにサポートを提供します。これは、家族が介護者としての役割を果たしつつも、自分自身の健康と福祉を保つための重要なステップです。
     丁寧な接遇と柔軟性: 利用者に対して丁寧な対応を心がけ、様々なニーズに対応します。これは、信頼関係の構築と長期的な関係の維持に役立ちます。
     職種間の協力と連携: 各職種の役割と専門性を明確にし、利用者の家族や主治医、担当相談員等との協力と連携を強化します。これは、利用者にとって最適なケアとサポートを提供するために重要です。
     スタッフのスキルアップ: 職員一人ひとりが専門職員としての知識や技術の向上に努め、接遇面の充実を図ります。
     活動の充実: アクティビティ(外出行事・創作活動・レクリエーションなど)を通じて利用者の生活の質を向上させます。制作活動を充実させ自立的収入源の確保の実現を目指します。
     人材の採用と育成: 新規施設開設に向けて人材採用と育成を行います。これは、サービスの量と質を維持・向上させるために重要です。
     安全と効率性の向上: 施設の収容人数が限界に達しているため、業務のマニュアル化と福祉機器の導入を進め、安全な業務を確保します。
    ① ラズベリー(定員 放デイ・児発 1日合わせて5名)
    稼働率を上げつつも、安全な業務が行えるよう、業務のマニュアル化や福祉機器の導入を進める。加算人材を確保し、収益が落ちないようにする。特に児童発達支援の利用者獲得に努める。
    ② クランベリー(定員 放デイ・児発 1日合わせて5名)
    稼働率を上げつつも、安全な業務が行えるよう、業務のマニュアル化や福祉機器の導入を進める。加算人材を確保し、収益が落ちないようにする。特に児童発達支援の利用者獲得に努める。
    ③ ブルーベリー(定員 生活介護10名)
    稼働率を上げつつも、安全な業務が行えるよう、業務のマニュアル化や福祉機器の導入を進める。報酬改定により経営状態は上向くが、安全を重視しながらも引き続き効率のよい運営を行う。
    ④ ストロベリー(定員 医療型短期入所10名)
    稼働率を最低40%まで向上させる。宿泊あり事業が可能となるよう常勤医師の確保、病床設置の申請を進めていく。
    (4) 相談系事業
     介護保険の基本理念: 高齢者の自己決定権の尊厳、自分らしい生活の継続、自立支援を基本とします。これは、ご利用者の心身機能、活動(生活)、参加(人生)状況を踏まえたアセスメントを行い、ご利用者とその家族の意向に基づき、生活機能を高めるプランを作成します。
     情報管理: 個人情報保護法の施行に伴い、利用者情報の適正な管理を行い、利用者の立場に立った対応を行います。
     自己評価とサービスの改善: 介護サービス情報の公表、正確な制度情報の把握、資質向上のための自己評価を行います。

以下は具体的な実行計画の点です:

 制度の動向把握: 制度の動向や圏域の福祉情勢を把握し、事業の検討及び改善に努めます。
 サービス事業所との連携強化: 法人のサービス事業所との連携を強化し、安定した事業所経営に取り組みます。
 ケアマネジメント: 利用者自身の身体状況はもちろん、生活環境や、介護力等を総合的、包括的にケアマネジメントを行います。
 自己研鑽と資質向上: 自己研鑽を行うことにより、専門職としての資質向上に努め、利用者及び地域に選ばれる事業所を目指します。
 法令遵守と個人情報の保護: 法令を遵守するとともに、個人情報の保護に留意し、情報提供及び情報開示、並びに説明責任を果たします。
 自己評価とサービスの改善: 自己評価を行い、サービスの質の検証・改善に取り組みます。
 計画実績維持:計画実績件数を現状の件数を維持します。

① ケアプランセンターあいの実
最低でも計画数を現状維持もしくは微増を目指す。
② あいの実オリーブ
相談件数を年度末までに現在の件数にプラス10件程度の利用を目指す。
(5) 医療系
① あいの実クリニック
予約、診察、請求など、基本的な流れを把握し、円滑な運営ができるようにする。診察数が増えるような工夫を行う。数年後を見越してドクターを探す。
(6) 研修事業
① オレンジアカデミー
あいの実が培ってきた技術や知識を外部向け研修として事業化する。
(7) 寄付事業
① 仙台あばいんプロジェクト
利用者とその家族向けの「生きがいづくり」のプロジェクトのために事業として寄付集めを行う。様々な企業からの協賛などを得られるようデザインされた戦略を立て実行する。医ケア児ママの働くカフェを西田中に作るため、建築費用や運営費用を個人・法人から寄付を募っていく。Google広告等を用いたリスティングを行い、インターネットを使った広報を積極的に活用する。