社会福祉法人あいの実は「人からしてほしいと思うことを、人にする」を法人理念に、福祉施設とはどうあるべきかを考えてきました。その一つの形として、『ヴィラ型ショートステイ』という、利用者家族も泊まってみたいと思えるショートステイを建築しました。
重症心身障害児者・医療的ケア児者の家族は医療機関や福祉施設との関わりが非常に多くあります。福祉施設に来るたびに自分の子供の置かれている状況を突きつけられ、また自分自身の置かれている状況を再認識しなければなりません。
福祉施設とは思えないようなデザインを取り入れることによって、ネガティブな感情を少しでも緩和できればと、都市建築設計集団 / UAPP(代表 手島浩之氏)と共に企画された建物です。
今回の受賞は、利用している人とその家族にとって誇りを持てる福祉施設を作りたいという法人の方向性が評価されたものと思います。
グッドデザイン賞受賞公開ページ
審査員による評価コメント
医療型ショートステイというあまり馴染みのない施設であるが、ここは医療ケアを必要とする子供たちの短期入所ができる施設である。親から離れて泊まるだけでも、子供たちにとっての不安は大きなものだろうから、入院というより宿泊という雰囲気をつくってあげるのは重要だ。中庭を持った平面計画も、内部の居心地の良さに貢献している。このようないわゆる「児童福祉施設」には施設というより家のような空気感をつくっていくことが大切だろう。これは間違いなくデザインの力で実現できることの一つであろうし、このような好例は多くの人たちに知ってもらいたい。
あいの実より
あいの実の法人理念「人からしてほしいと思うことを、人にする」は、自分と相手を置き換え、最大限想像力を働かせることを促しています。私たちは当事者ではありませんが、当事者や家族がどんな思いでいるか、どんなことを願っているか、どんな未来を描いているか、考え続けています。時にはそれが的外れなこともあると思います。それでも、支援のために想像力を働かせることは障がいと共に生きる方たちの権利を守るために非常に大切だと考え、続けていきます。