仙台あばいんプロジェクト✖シードキャンプ『あいの実はなぜキャンプにチャレンジするの?』  

仙台あばいんプロジェクト ブログ

2023年10月14日。あいの実が施設敷地内に、キャンプサイトを再現します。

介護福祉事業ひとすじだったあいの実が、アウトドアに挑戦です。常に死と隣合わせの医療的ケア児者、ケアするパパやママ、きょうだい児、ボランティアの学生たち、スタッフやナースを交えて、インクルーシブなデイキャンプを楽しみます。

あいの実は、なぜキャンプにチャレンジするのでしょうか。

やりたいけれどむずかしいキャンプ

コロナ禍で、自然に逃れて楽しもう、の流れで一大ブームになったキャンプ。ソロキャン、ファミキャン、グランピングなど、今や楽しみ方もスタイルも多種多様。店頭には心躍るアウトドアアイテムが勢ぞろい。

ーしかし。

『医ケア児者ファミリーのキャンプスタイル』は、どうなるのでしょうか。

医療的ケアとアウトドアは相性最悪、という声も聞かれます。常日頃からあたりまえの楽しみをあきらめがち、社会からもおいてけぼりになりがちな医ケア児者ファミリー。

あいの実とつながるファミリーの、キャンプやアウトドアへの本音を聞かせてもらいました。

『(医療的ケアのあるお子さんの名前)が産まれる前、何度かキャンプに出かけていました。(お子さんの名前)が産まれてからは残念ながら一度も行けていません。寝袋には寝せられないし、途中体調崩したらどうしようとか。ここ数年は、夜酸素を使っているので宿泊に二の足をふんでしまいます。(お子さんの名前)にも色々なこと経験させてあげたいのですが、大きくなるにつれ人の手がたくさん必要となってきて、家族だけでのアウトドアは、厳しいです』

『キャンプは憧れです。バギーでの移動も家族だけでは大変です。家族だけだと、医療ケアしながらは荷物運びやテント設営や火おこしなど手がたりないので今まで諦めていました。一緒に火を囲んだりマシュマロ焼いたり、寝転んで星空観察会もしたい。キャンプで協力しあったら、ご家族同士も仲良くなれそうですよね。きようだい児が一緒に外遊びを思いっきり楽しむイベントも継続的にあるとうれしいです。きょうだい児としての想いが自然と話せるお友達ができるといいなと思います』

医ケア児者ファミリーがやりたいけれどむずかしいキャンプ。原因は、重い障がいを抱えている子がいるから、だけではありません。

『自分たちだけでは大変。家族だけでは難しい』とあきらめるファミリー。『お手伝いします』『いっしょに楽しみましょう』と声を上げるであろう、あったかい人たち。

両者が出会う場面がありません。医療的ケア児者ファミリーの地域社会とのつながりや、社会周知のすべが構築されていないのです。

仙台あばいんプロジェクトとキャンプ

医療的ケア児者が安全に過ごせる場所が極端に少ないため、ファミリーは地域社会から見えなくなってしまいます。公園やレストランでも見かけません。困りごとが家庭の中にとどまり、支援の輪が広がりません。

2023年より始動した、SWCあいの実『仙台あばいんプロジェクト』では、どのファミリーも取り残されない未来を目指します。

キャンプサイトやカフェの風景に、医ケア児ファミリーが溶け込む未来です。

『あばいん!』は仙台の方言で『いっしょに行こう』です。

医療的ケア児者も、ケアに追われるパパやママも、さびしさをこらえていたきょうだい児も、そして地域社会の皆さんも、『いっしょに行こう!』というプロジェクトです。

社会制度に頼らない支援であり、多くの方からの応援とご支援を必要としています。

プロジェクトでは、医療的ケア児者ファミリーそれぞれが、自分の生きがいや社会交流を広げるしくみを創ります。

このしくみのひとつが、『Theシードキャンプ~未来への種をまこう!~』になります。あえてミニマムにせず、ボランティアを交えた交流型のキャンプです。(あいの実・仙台あばいんプロジェクトのもうひとつのチャレンジが『医ケア児ママのはたらくカフェ』の建築と運営です)

あいの実の『キャンプをしよう!』は、キャンプがファミリーだけでは難しいからこそのチャレンジです。

必然的にファミリーの社会周知や社会交流が実現し、支援の輪も自然に広がるはずだからです。

ただ楽しむだけではないキャンプ

『Theシードキャンプ~未来への種をまこう!~』。2023年はトライアルキャンプですが、仙台あばいんプロジェクトのスピリットを存分にプログラムに盛り込みました。

BBQ 準備も片付けも一苦労、でもキャンプと言えばBBQ!ボランティアやスタッフと助け合いながら、大変過ぎないBBQにトライします。

家族未来会議 なんとキャンプ中に会議です。医ケア児者も、ケアに明け暮れる家族も、みんながみんな人生の主人公。家族の絆はそのままに、それぞれが交友も生きがいもある未来を語り合い、自立したファミリーのカタチをイメージするディスカッション。

ショートステイのケアサービス 医療的ケア児者の安全と休息、ファミリーの自由や憩いのために、シードキャンプとショートステイのケアを同時進行させます。あいの実施設敷地内のイベントならではのメリットです。

キャンピングカー試乗体験 医療的ケア児者ファミリーの避難所として注目されつつあるキャンピングカー。電源、プライバシー、衛生の確保が可能です。防災を意識して試乗体験できます。

きょうだい児の経験と交流 実は今回のキャンプは、ボランティアコーディネートのスモールテストも兼ねています。学生ボランティアや、さまざまな立場、職業の方と交流し、大人も子どもも、遊びと学びを満喫しましょう!

『いっしょに行こう!』のキャンプ

シードキャンプにぜひ、ご期待下さい。

ミニマムにしない交流型のキャンプです。

死と隣り合わせの医療的ケア児者を交えたアウトドアです。

ハードルの高いイベントですが、あいの実・仙台あばいんプロジェクトの目指す風景を皆さんにお見せできるチャンスです。

『どのファミリーも取り残されない未来』を、限定的にですが実現させます!

(写真:ついに完成。シードキャンプのウェルカムボード。記念撮影スポットにもなります!)

医ケア児者ご家族それぞれが、人生の主人公になる第一歩を踏み出します。

ファミリーはキャンプで出会いや学びを経験し、疲労に代わって感動を覚えます。

障がいを持つ我が子だけに向けていたママの笑顔を、多くの方が見かけます。

社会で働く喜びとちょっぴりの苦労、つまり『あたりまえの幸せ』が形になります。

バギーに座った医ケア児者とファミリーの姿が、『いつもの景色』に溶け込みます。

あいの実のシードキャンプへの挑戦を、ご支援、応援してください。

美しい風景を、ぜひ私たちと共有してください。

どのファミリーも取り残されない未来へ向かうすがすがしさを、体感してください。

あばいんプロジェクトでは、支援の輪がシードキャンプを越え、大きく大きく広がって、医療的ケア児者ファミリーが社会に溶け込む未来を目指しています。

一日の夢で終わらせないプロジェクトを、どうぞこれからも見守ってください。

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