「18歳になったら、いま受けている支援はどうなるんだろう」
医療的ケア児(たんの吸引や人工呼吸器、経管栄養などの医療的ケアを日常的に必要とする子どもたち)を育てるご家族から、何度も聞いてきた言葉です。学校を卒業したあとの居場所のこと。親が年を重ねてからの暮らしのこと。考え始めると、不安は尽きないと思います。
2026年7月、この「先の見えなさ」に、国の法律が一歩踏み込みました。医療的ケア児支援法の改正法が国会で成立し、公布されたのです。
この記事では、この改正で何がどう変わっていくのかを、ご家族の目線で整理します。
医療的ケア児支援法とは?
令和3年(2021年)に制定された「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」のことです。医療的ケア児への支援を国や自治体の「責務」と定め、保育園や学校に看護師を配置するなど、子どもたちが地域で育つための環境づくりを進めてきました。この法律により、18歳未満のお子さんへの支援は少しずつ整ってきています。

では、18歳を過ぎるとどうなるのでしょうか?
この法律の支援対象は、基本的に「児童」、つまり18歳未満です。医療の進歩とともに、医療的ケアを受けながら大人になる方は増えているのに、18歳を境に法律の後ろ盾が弱くなってしまう——これがいわゆる「18歳の壁」と呼ばれてきた課題です。
2026年7月、改正法が成立・公布されました
この課題に応えるため、医療的ケア児支援法の改正法が2026年7月24日、参議院本会議で可決され、成立しました。衆議院・参議院とも全会一致での可決です。2026年7月31日には、令和8年法律第77号として公布されました。
施行日(法律が実際に効力を持つ日)は、2027年(令和9年)4月1日と定められています。
つまり現在は「成立・公布はされたけれど、まだ施行前」の期間です。いまの支援の枠組みは従来どおりで、2027年4月から新しい仕組みに切り替わっていきます。
「18歳の壁」はどうなるの?
今回の改正のいちばん大きな柱です。施行日をもって、法律の支援対象がこれまでの「医療的ケア児」から大きく広がります。
- 医療的ケア児等:医療的ケア児に加えて、大人になってからも日常的に医療的ケアが欠かせない方
- 重症心身障害者:重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複している方
これに合わせて、法律の名前も、施行日をもって「医療的ケア児等及び重症心身障害者並びにそれらの家族に対する支援に関する法律」へと変わることになっています。「18歳を過ぎても、切れ目なく、希望する地域で暮らせるように」という考え方が、法律の基本理念にも書き込まれます。
重症心身障害のことについて詳しくは、「重症心身障害児とは?医療的ケア児とは?」のページをご覧ください。

ご家族の暮らしはどう変わるの?
改正法には、ご家族の毎日に直結する内容が具体的に盛り込まれています。いずれも施行後に整備が進められていく施策です。
- レスパイト(一時的な預かり)の充実:夜間の居宅サービスや通学等の移動支援を法律に明記
- 就労の支援:ハローワーク等と連携した働くための支援や、在宅勤務の推進
- 住居の確保:親元を離れたあとも地域で暮らし続けるための住まいの支援
- ピアサポートの充実:同じ立場の家族同士が支え合う機会を増やし、孤立を防ぐこと
- 切れ目ない医療:18歳を過ぎても医療を受け続けられる体制づくり
重い障害をもつお子さんの世話は、24時間続きます。「頑張り続けるしかない」状況に置かれがちだったご家族の休息や、ご本人の「働きたい」「地域で暮らしたい」という希望が法律の言葉として明記されたことは、大きな前進です。

相談窓口はどう変わるの?
各地の相談窓口である「医療的ケア児支援センター」は、施行日をもって「医療的ケア児等支援センター」へと役割が広がる予定です。
設置できる自治体が都道府県だけでなく指定都市・中核市などにも広がり、災害時の備え(個別避難計画への協力や情報提供)もセンターの仕事として位置づけられます。細かな運用は、今後国が定める政令などで具体化されていきます。
いつから変わるの?
- 2026年7月24日:改正法が参議院本会議で可決・成立(全会一致)
- 2026年7月31日:公布(令和8年法律第77号)
- 2027年4月1日:施行(予定)。法律名が変わり、支援対象が18歳以降・重症心身障害者まで拡大
- 施行後3年を目途:実施状況をふまえた見直しの検討
繰り返しになりますが、現在はまだ施行前です。「もう制度が変わった」わけではありませんので、いまの支援内容については、お住まいの自治体や相談支援専門員にご確認ください。
SWCあいの実の取り組み
法律の施行を待つあいだも、ご家族の毎日は続いていきます。
SWCあいの実は仙台市泉区で、重症心身障害児・医療的ケア児者に特化した通所・短期入所などの事業所を運営してきました。「人からしてほしいと思うことを、人にする」を理念に、改正法が目指す「切れ目ない支援」を先取りする形でサービスを続けています。
- ご家族の休息(レスパイト)には:医療型短期入所「あいの実ストロベリー」
- 日中の居場所には:重症心身障害のお子さん・大人の方に対応した通所支援。デイサービス選びのポイントは「医療的ケア児のデイサービスを仙台で探すには」でご紹介しています

まずはご相談ください
「うちの子も利用できるだろうか」「18歳を過ぎているけれど、相談してもいいのだろうか」——そうした不安を、ひとりで抱えないでください。
見学だけでも、お話を聞くだけでも構いません。お問い合わせページから、お気軽にご連絡ください。
※本記事は2026年8月時点の情報(公布済み・施行前)に基づいています。施行に向けた政令などの詳細は今後定められるため、最新情報は国・自治体の公表をご確認ください。
※記事内の写真は一部イメージです。